漫画からチーム作りを見てみよう~宇宙飛行士とチームワーク~

こんにちは。札幌にある『カウンセリングこころの羽」の佐々木です。

突然ですが、皆さん『宇宙兄弟』という漫画をご存知でしょうか。

『宇宙兄弟』は小山宙哉先生が原作で南波ムッタ、南波ヒビトという兄弟のお話です。
夢を諦めていた兄ムッタが先に宇宙飛行士として月に行くことになった弟ヒビトを追い、宇宙飛行士、そして月に行くことを目指すというストーリーです。

その中で様々な困難、自分との闘いを通して夢に向かって頑張るムッタの姿がとてもかっこいいなと思うこの作品。
アニメ化もされているので機会があれば、ぜひ手に取っていただければと思います。

今回は『宇宙兄弟』第18巻の一部のネタバレがありますが…
単行本の方を見ていただくとより、話が分かりやすいかと思います。
それでは、 今日はチーム作りについて、私のバイブル『宇宙兄弟』を基にお話しさせていただきます。

宇宙から見える太陽
『宇宙兄弟』は、宇宙という壮大なテーマを背景にしながらも、人間関係の大切さを学べる素敵な作品です。

チーム作りの難しさ

さて、宇宙飛行士というのはいろいろな国籍の人たちとチームを組みリーダーはそれをまとめていきます。
同じ国の人でチームを組んでも大変なのにチームのコマンダー(チームのリーダー)ははになるということはとてもすごいですよね。

『宇宙兄弟』でもそういった話があります。
ある訓練でムッタが配属されたチームは、レゲエ好きで騒がしい男、気障なイタリア人男性、強気でチームを寄せ付けない強い女性、身長が高く無口でマイペースな男、そしてムッタというリーダー不在のチーム。
訓練が始まってみるとやはり、互いが好きなように動き統制が取れない状態でした。

そこでムッタがリーダーシップを取ろうとしたところ…「似合わないことはやめなよ」とチームから一言。
まとめることは出来ませんでした。

リーダー不在の中現われたのは何度も宇宙に行った大ベテランでした。
ムッタはそこでこう思いました。
『一瞬にしてわかってしまった。リーダーというのは安心と興奮を同時にくれる。』『この人は俺たちのリーダーだ!』

チームというのは本当に難しいです。
リーダーはチームをまとめ、メンバー一人ひとりに向き合い、プロジェクトや行事を進めていかなければならなりません。
私も前職で行事担当になったときには苦労しましたし、うまくできませんでした。
読んでくださっている方の中にもチーム作りに苦戦した方はいるのではないかなと思います。

それでは新しく現れたリーダーが個性の強いメンバー達に対してどのようなアプローチをして、それが心理的にどんな効果があったのかを見ていきます。

一緒のことをやってみよう

曲者ぞろいのチームをまとめるためにリーダーが行ったのは、朝のランニングの方法を変えることでした。
今までは、キャンプの周りをぐるぐると回るものでした。
そこで6人全員が車に乗りキャンプから数キロ離れた地点でおり、そこからランニングを開始するということにしました。

ここに2つのルールを付けました。

1.決められた時刻ちょうどにつくように走る。つまり、遅れても早くてもダメ。

2.時計をもっていいのはリーダだけ。

これにより、チームはバラバラに走ることもなく、一つの目標に対して一緒に行動できるようになりました。

これだけルールがあれば、そりゃ出来るよねと思うかもしれませんが、ここにポイントがあるんです。
これは同調という状態を作り出しているんです。

このことに関して、こんな実験があります。

被験者たちを3つのグループに分け、歌を3つの方法で聞いてもらいます。

A:曲が流れている間は、歌詞を黙読する。

B:一緒に大声で歌う

C:一人ひとりヘッドホンをし、違うテンポで聞きながら歌ってもらう

そのあと、実験の報酬を独り占めするか、チームで山分けするかを選んでもらいました。
結果はA,Cチームに差は見られませんでしたが、Bチームは山分けを選択する人が多かったのです。
ここから導かれることは、一緒の行動をとっていると認識をすると他人と協力関係になりやすいということです。

ランニングのルールは、協力関係を作るためのアプローチの一つだったわけです。

皆さんはこんな記憶はありませんか?
部活をやるときに、チームで並んで走ったり、試合前に円陣を組む。
これらも、”同調”という状態を作り上げる意味があるんです。

円陣を組んでいるチーム
スポーツの分野では、“当たり前”な円陣にも重要な意味があるのです。

相手に興味を持とう

リーダーが次に行ったことは、チーム皆の身の上話でした。
漫画では、ムッタの弟ヒビトが直面した危機とそれを乗り越えた話をしました。
次に描かれているのは、気の強い女性の宇宙飛行士が「なぜ宇宙に行くのか」という話でもです。
すべて書いてしまうとネタバレになってしまうので、ここでは割愛します。

この何気ない話にもポイントがあります。
それは、相手に興味を持つこと。
なんだ、そんなの当たり前じゃんとなるかもしれません…

ここで、またまた、実験のお話です。

仕掛け人は初対面の被験者と5分だけ話をします。
その時、共通点だけではなく相違点について関心を示し、質問をするようにします。
そして5分後被験者からみた相手(仕掛け人)の性格や印象を尋ねました。
すると「エネルギーにあふれている。」「話し好き」など好意的な結果になるのです。

人はみんな、自分への関心が1番に来ますが、相手に自分のことを知っていてもらいたいですよね。
そこをしっかりくみ取ってあげることで、人間関係も良好になっていきます。
最初の身の上話もこういうところにつながっていきます。

実在する宇宙飛行士の若田光一さんも自分が宇宙ステーションのコマンダーになった時には、メンバー一人ひとりのミッションに対する目的や不安な事などを聞き、それぞれに向き合い、サポートや目標達成のための支援を行ったそうです。

好奇心を持つということは、相手からも好印象を持たれることにつながり、チームの運営をやりやすくするんです。

助け合っているチーム
高い目標を達成しようとするときほど、チームとしての協力が大切になりますよね。

まとめ

今回はチーム作りについてのお話でした。
もしかしたら、「もうやってるよ」というような方法もあったかなと思いますが…
こんな方法もあったなと思い出すきっかけや「こうすればいいのか」という発見になればうれしいです。

『宇宙兄弟』は頑張ろうと思える言葉がたくさん詰まった、素敵な作品。
そして、仕事に対する姿勢を学べる作品ですので、ぜひ手に取っていただければと思います。

『カウンセリングこころの羽・札幌中央店』佐々木啓太