うつ病やうつ状態…その時の脳内は…

心理-脳内

【神経科学とカウンセリングの分野から考えるうつ病、うつ状態】

こんにちは。札幌市にある『カウンセリングこころの羽』の岡本です。

先日、カウンセリングの合間に自己研鑽として『カールソン神経科学テキスト 脳と行動』を読んでいた時に興味深い記載を見つけました。

今回は、「うつ病」や「うつ状態」をカウンセリングの分野だけでなく、神経科学の分野からも考えてみようと思います(^^)

カウンセリングルームこころの羽に置いている専門書
質の高いカウンセリングを目指すうえで様々な専門書や参考書から学ぶことは、とても大切です。

◆そもそも、神経科学って…?

Wikipediaでは…

神経科学(しんけいかがく、英語: neuroscience)とは、神経系に関する研究を行う自然科学の一分野である。
研究の対象として、神経系の構造、機能、発達、遺伝学、生化学、生理学、薬理学、栄養学および病理学などがある。

Wikipediaより

と紹介されています。

例えば『脳科学』だと脳内の働きや特徴が主な範囲ということになりますが、神経科学の分野だと全身の“神経”も研究や臨床の対象範囲になるというイメージでしょうか。

そういった意味では、非常に範囲も広く勉強にも時間がかかるのですが(笑)、様々な角度から心理的や身体的な反応の理由を把握するには非常に興味深い分野だと感じます。

こころの羽では、今回参考にさせていただいた『カールソン神経科学テキスト 脳と行動』以外にも『カンデル神経科学』という専門書を保有していますが、こちらもかなり専門的な内容になっており厚みも辞書以上なのですが、非常に勉強になる分野だと感じます。

本来であれば、神経科学の分野は「医療」の範囲になるため公認心理師や臨床心理士、心理カウンセラーの専門分野外の内容になりますが、元々、脳科学や心理学に強い興味がある私にとっては、関連する分野としてとても面白いと感じるのです。

記載されている内容の一部をご紹介すると…

『統合失調症』と呼ばれる症状があります。

この症状を持つ方の場合、大脳皮質と呼ばれる脳の一部で機能の低下が見られるのですが、これは「細胞の減少」では無く「シナプス結合の減少」(脳内で電気的な信号を受け渡しする部分)が起因しているという考え方なども記載されています。

つまりは、脳細胞が死滅するような状況では無く、「統合失調症=脳内の信号の受け渡しが上手くいっていない状態」と表現することができるのかもしれませんね。

※もちろん、詳しい診断は医師の判断が重要ですので、医学的な相談に乗る目的での学習ではありません。
あくまで、「不安な気持ち」を少しでも軽くするための補助的な知識として学習しております(^^)

神経科学の専門書
様々な分野から学ぶことは、新たな気付きに繋がります…

◆「うつ病」や「うつ状態」になった時の脳内は…

少し前置きが長くなったので、本題に戻らせていただくと…

『カールソン神経科学テキスト 脳と行動』の中でうつ病患者さんの脳内の様子を可視化したものが掲載されていました。

その特徴としては…

脳内には、「海馬」と呼ばれる記憶を管理する部分がありますが、「うつ病」や「うつ状態」と診断される段階の方の場合は、この「海馬」付近の脳細胞が非常に活発に活動している。

という傾向が見られます。

実際に「鬱(うつ)」を経験した方の場合、気持ちが落ち込んでいる状態だと記憶力や判断力、様々な意欲が低下するため、脳の機能が低下しているような印象を受けているかもしれません。

が、

実際には、脳機能が低下しているというよりも「記憶に関する情報を引き出す部分が過剰に活発化している」その結果として、脳内の他の部分の機能が低下したような状態になっている。

と表現することができます。

私自身も人生の中で3度ほど明らかに「うつ状態」と呼べる状況になったことがありますが、その時のことを思い出してみると「過去の失敗」や「後悔」が頭の中でグルグルと回り、その結果として日常生活における様々な判断が弱くなっていたように感じます。

今でこそ笑い話ですが、サラリーマン時代(20代前半)の頃に仕事のストレスでうつ状態になった時には、気持ちの落ち込みと同時に注意力も散漫な状態になっていたので、荷物を積んだ「台車」(タイヤがついた運搬用の道具)で上司のことを引いたことがあります(苦笑)

上司の後ろを歩いていたはずが、上司が立ち止まったことに気づかず、そのまま直進…

結果として上司の「痛っ!!!」という声で「ハッ!!」と我に返って血の気が引く…という場面を体験しました。

今思えば、その時も「過去の失敗」が頭の中でグルグルと回っており、目を開けているけれど何も見えていないような状態でした。

このときは「頭が働かない」「脳の機能が停止しているようだ」と感じていましたが、冷静に振り返ってみると常に「後悔」「反省」という方向で脳は活発に働いていたことに気づきます。

◆症状が回復すると…

「うつ病」や「うつ状態」になっているときは記憶に関する脳内の一部が活発になっていることは、イメージいただけたと思います。

では、症状が回復したときの脳内は、どのような状態になるのでしょうか?

これは、2つの特徴が見られます。

一つは、記憶に関する脳内の一部の活動が低下します。(=落ち着きます)

頭の中でグルグルと回っている過去を振り返ったり、悔やんだりしている状態が解消されるという表現もできますね。

二つ目の特徴は、「前頭葉」と呼ばれる様々な「判断」や「理性的な行動」の指示を出す脳内の一部が活発に動き始めます。

つまりは、冷静な判断や決断といった危険を回避したり、目的を達成するための脳機能が回復している状態になるということです。

この状態になると落ち込む気持ちも和らいできて日常生活に集中できるようになってきます。

この回復(寛解)した状態は、療法のアプローチごとに結果が異なるわけではなく、薬によるアプローチの場合も心理療法やプラシーボ効果(偽薬効果)によるアプローチの場合でも同じような脳の状態になることが研究で判明しているのが驚きですよね。

つまり、心療内科や精神科病院で回復した場合も、カウンセリングルームで回復した場合も「気持ちが楽になった」と感じる段階の脳内は同じような働きをしている傾向があるのです。

これらのことから気づくことができるヒントとして…うつ状態のときは、過去の失敗や後悔を頭の中でグルグルと回している傾向があり、回復した状態のときは、過去のことはあまり考えずに「今やること」を意識していると表現することができます。

人の脳内では、「〇〇しちゃダメだ」と考えると逆にそのことを一生懸命考えている状態になります。

具体的に言うと…

「お酒を飲み過ぎちゃダメだ」と考えると、頭の中では逆に「お酒」のことばかりを考えることになる。

その方にとってお酒が楽しいものや好きなものであった場合、飲みたくて仕方なくなってしまうということです。

この状態(悪循環)に陥ることを防ぐためには、「〇〇しちゃダメだ」と考えるのではなく、別の理想的な方法をイメージすることが大切になります。

お酒を例にさせていただくと…

お酒をやめたい、量を減らしたいと思った時には…

「お酒を飲み過ぎちゃダメだ」と考えるのではなく、「お酒だけじゃなく食事も楽しもう」と考えることや「早めに帰宅して家族とすごそう」などと別のことを考えることが結果としてお酒の飲み過ぎを防ぐことにつながると考えられます。

◆日常の中で気をつけるポイントは…

過去のことを思い出して落ち込んだ気持ちになった時、なりそうな時には「気分転換」を意識することが重要。

そして、「今」に意識を集中させることが有効です。

つまり、過去のことを考えそうになったときや後悔するような気持ちになりかけたときに「気持ちの切り替えを意識すること」が効果的な方法なのです。

具体的な方法については、個人の趣味・趣向、価値観によっても異なるものですので、「自分に合った方法」を日頃から意識しておくことが大切とも言えます。

しかも、落ち込んでから「何かをしよう」と考えることは、なかなか難しい場合が多いと思いますので、気分が良い時、落ち込んでいない時に「落ち込みはじめたら◯◯をしよう」と決めておくことも効果的。

とくに難しいことである必要はありませんので、自分に合いそうな“方法”を意識してみてくださいね(^^)

いくつか具体例をあげておきます…

  • 散歩に行く
  • 動物(ペット)と遊ぶ
  • 子供と接する
  • 友達に電話をする
  • ゲームをする
  • 料理をする
  • 読書をする
  • 写真を撮る
  • 絵を描く
  • 日記を書く
  • テレビを見る
  • 映画を観る
  • 音楽を聞く
  • カラオケに行く
  • 楽器を演奏する
  • ヨガをする
  • ジムへ行く
  • スポーツをする
  • いつもと違う道を使う
  • 買い物をする などなど

あなたにあった方法…どんなものが思いつきますか?

『カウンセリングこころの羽・札幌中央店』岡本教兵