側に寄り添うことで…

こんにちは。札幌市の中央区にある『カウンセリングこころの羽・札幌中央店』の岩本です。

今回のブログのテーマは、私が前職で患者さまとそのご家族と関わっていた時に、重要視していたことを書いていこうと思います。

患者さまやそのご家族は、いきなりの病気や怪我により、自分の状態を受け入れ出来ないまま、リハビリ病院に転院してくることが多いです。

関わりの中で変化していくことが多く見られていたので、今現在どのように家族に対応したら良いか分からない方の参考になりますように。

差し伸べられた手

相手を100%理解する必要はない

新人の頃、担当していた患者さまに「あんたは俺の気持ちなんて何も分かっていない」と怒鳴られたことがあります。

その時、相手を理解しなければいけないと質問攻めに関わっていたことに気付きました。
どんなに親しい間柄にあっても、どんなに心を込めて接しても、相手の気持ちを100%理解することは出来ません。

それなら、相手の苦しみや悲しみに対し、どうすれば良いのか…。

人と人とは完全に理解し合えなくても、相手を『理解者』と思ったり、相手に『理解者だ』と思ってもらうことは出来る。

上記のことを当時の指導者に教えていただきました。
それからは日々『理解者だ』と思ってもらえるように、関わっていきました。

患者さまやご家族、他スタッフである看護師やケアスタッフにも、関わりを褒めていただけるまで成長することが出来ました。

たとえ苦しみは解決されなくても、辛いときに「辛い」という言葉を、苦しいときに「苦しい」という言葉をちゃんと聞いてくれる相手がいるだけで、「自分の気持ちを分かってくれる人が居る」と思える人が居るだけで、人は少しだけ楽な気持ちになれるのです。

医師の写真-カウンセリングと病院の違い

相手の心を見つめるだけで…

ただ「相手の話を丁寧に聴く」ということは、簡単なようで、とても難しいことと言われています。

話を聴き、その苦しみを共に味わうことで相手の苦しみが少しだけでも和らぐことがあるのに、それが中々出来ない方もいます。

話を聴く時には、「相手は自分と違う人間である」と認識し、先入観や思い込みを捨てる必要があります。

私が相手の話を聴くときに大切にしていることは、相手の話すテンポです。
適度に相槌をうち、時折相手の表情をうかがうことも心掛けています。

そしてなにより大切なのは、安心して話せる雰囲気作りであると感じています。

なお、話を丁寧に聴き、相手の伝えたいメッセージをキャッチ出来たら、言葉にして相手に返すことも大切です。

相手の話を丁寧に聴き、反復すること。
相手の苦しみを、共に味わうこと。
この2点を会話の中で大切にすることで、相手の気持ちが少しだけ落ち着くようになると感じます。

針金で作られたハート

無力な自分を受け入れよう

苦しみや辛さを抱えている方々に対し、「自分は無力だ」と感じてしまうことも度々あるかもしれません。

特に医療の現場では、そのような場面がよく起こり、「自分は何も出来なかったな」と思ってしまうこともあります。

ですが、それでも医療従事者といっても出来ることには限界があります。
本当に大切なのは、「患者さんの全てを解決すること」ではなく、無力な自分を受け入れ、一人の人間として、「患者さんに関わり続けること」であると感じます。

たとえ無力でも、無力だからこそ、患者さんの言葉をきちんと聴き、共に苦しみを味わうことが大切です。

もしかすると「自分は家族に期待に応えられていない」、「仕事で良い成績を上げられていない」、「周りに迷惑ばかりかけている」という思いに苦しんでいる人が居るかもしれません。

人は誰しもそこに存在しているだけで、誰かの支えになることが出来るのです。
「自分は無力だ」という思いが強くなっても、必ずそこから学べることもあります。

その苦しみと向き合ったとき、人は「たとえ何も出来ない自分でも生きていてよいのだ」と考えられるようになるのではないかと思います。

今回、実際に私が患者さまとそのご家族に寄り添っていた時に心掛けていたことを紹介させていただきました。
少しでも参考になれば幸いです。

苦しみを抱えている方、その側で支えている方、どうしたら良いのか分からない方…『カウンセリングこころの羽』でその思いを吐き出してみませんか?

『カウンセリングこころの羽・札幌中央店』岩本望未