上手くいかないときに~パフォーマンス・マネジメントとは~

こんにちは、札幌市中央区にある『カウンセリングこころの羽』の佐々木です。

今回のテーマはパフォーマンス・マネジメントについてです。
仕事の部下やお子さんとの関係の中でうまくいかない事や、トラブルは多々ありますよね。
今回はそんな時にどうやってアプローチしていくのか、陥りやすい問題について書いていきます。

上手くいかない時に…

何かがうまくいっていない時に「あの人はやる気がないから…」と思ったり、「私が悪いんだ…」など思うことはありませんか?
実はこれは人間が陥りやすい罠なのです。
うまくいってない時にそれを解決するためのアクションをとらずに自分や相手の資質、やる気の問題にしてしまうことを「個人攻撃の罠」といます。

この考え方を学んだとき、私自身も「あるある」とうなずいていました(笑)

何かトラブルが起きてうまく進まない!それは○○のせいだ!と思ったときに一息ついてみてください。
「自分は個人攻撃の罠にはまっていないかな?」と考えることで、問題解決への一歩になると思います。

解決のために

問題解決の方法の一つとして今回紹介するのは…行動分析学です!
「おいおい、佐々木また行動分析学かよ!」という声が聞こえてきます。
はい!またです!しつこいくらいやっていきます。

何度か私の記事で紹介をしているのですが、『好子(こうし)』や『強化(きょうか)』と一部でした。
今回はもう少し掘り下げていきます。
お付き合いください。

ではでは、おさらいです。

『好子(こうし)』とは、行動の後に起こるイイことです。
簡単に言うと仕事を頑張った時に「君、この企画書細かいところまで作り込んであっていいね!また頼むよ。」なんて言われると、また頑張りたくなりますよね。
ここでは、褒められることが好子になります。

お次は『強化』です。
正確には強化の原理と言います。
これは、アクションを起こすことで、イイことが起こったり、嫌なことがなくなったりするとその行動は繰り返されるというものです。

注意点としては、人それぞれ“イイこと”は違うということです。
なので、その人に合ったものを見つけていきましょう。

次に、『嫌子(けんし)』というものをご紹介します。

嫌子とは行動を繰り返しにくくする嫌なことです。
例えば口内炎が出来ているのに、甘いものを食べるとしみる。(今の私です)
ここでの嫌なことは「しみる」ですね。

そして、この嫌なことがあった時にその行動を繰り返しますか?
繰り返しません。
それが『弱化の原理』です

まずは、こういうものがあるんだなと知っていただくとともに「あの人にこんな行動をしてもらうには…」と考えていただくきっかけになればなと思います。

分析してみましょう!

ここまでは、原理のお話でした。
次にどうやるのかを見ていこうと思います。

人間の行動を見ていく方法にABC分析というものがあります。

A:Antecedent→「~のとき」、先行条件といいます。

B:Behavior→「~したら」、行動です。

C:Consepuence→「~になった」、結果ですね。

ABCの関係を行動随伴性と言い、行動随伴性を分析することをABC分析といいます。
ABC分析を使って、相手の行動を見ていけばいいわけです。
なんだかんだ言っても覚えていただければ嬉しいのはABC分析の使い方ですので、らくに使ってみましょう。(*^^)v

私の例だと…

保育士としての仕事をしていた頃、トイレトレーニング(おむつから、通常のパンツへの移行するためのトレーニング)を始めた子がいました。
促して、つれていくとトイレですることを嫌がります。
こんな問答が始まります。

「でないのかい?」と聞くとずっとめそめそ状態。
「出ない時は出ないっていうんだよ」というと「でない」と子どもは答えます。
この時私はイライラしています。

このやり取りを何日か繰り返しました。この状態を分析してみましょう。

A:トイレを促す時間に促された時(一日の流れで決まっているトイレへ行く時間)
B:トイレへ行く
C:大人にがみがみ言われる

とこんな感じになるわけです。
Cがものの見事に嫌子になっているわけですね。
「トイレに行く」という行動を弱化しているわけです。

これではまずいと思い、Cを変えてみることにしました。
何をしたかというと、シール帳を作りました。
その子が好きな消防車を使いました。

これは好子になるだろう。
と思いましたが…うまくいきませんでした。

どうしたものかなーと考えた時に、前提条件が違うのではないかと考えました。
今まではAが決まった時間に促された時でした。
排泄の時間を見直した時にだいたい2時間おきぐらいでした。

そして、もう一つ。
お母さんより、家では一緒に入るより一人で入りたがるとのことでした。

この2つを基に、
A:約2時間おきに誘い、トイレの入り口まで一緒に行く。
B:トイレをする。
C:「やったね!」とハイタッチをする。

前提条件を変えて、結果も30秒以内にもらえるイイことに変更しました。
結果としては、失敗はあってもその子は嫌がらずにトイレに行ける様になりました。

相手の行動を直接変えることは出来ないので、前提条件と結果を整えてあげることで相手も自分も楽になると思います。

最後に知っていただきたいのは『死人テスト』です。
行動分析学では、行動は「死人にはできない事すべて」とされています。
(逆に「死人でもできること」は“行動”ではないと考えられます。例えば…黙っている、じっとしている、話さないなどの選択肢です。)

なので「~しない」ということは強化の原理も弱化の原理も適用されません。

ABC分析をする際は、「~しない」という行動で見ていないかを意識してみてください。

まとめ

少し長くなってしまいましたがいかがでしたか?
行動の原理もまだ復帰、消去、弁別、派生とあるのですがまた次の機会にお伝えできればと思っております。

上手くいかない時には、一息ついて、原因を書き出してみましょう。
その中で、個人攻撃の罠にはまってないかなと見直すだけで、気持ちが楽になると思います。

そして「~しない」ではなく「~する」という風に+の方向で考えていけるといいですね。

『カウンセリングこころの羽・札幌中央店』 佐々木啓太