HSPについて④~間違いは[風景]でわかります

こんにちは。札幌市中央区にある『カウンセリングこころの羽・札幌中央店』の小田です。

HSPに関する前回のブログでは、聴覚に関して小田の工夫例をご紹介しました。
HSPについて③〜時計の秒針が気になりますを読んでみる→

今回は、どのようなものが刺激となるのか、また、HSPの特別な資質についてご紹介したいと思います。

◆刺激とは何か

アンテナ-テレビ塔-HSP
アンテナが高いイメージ図

HSPの特徴として説明する時に、「人より高いアンテナを持っているので、色々な情報や刺激をキャッチしやすく、その分疲れやすいので、意識的なケアが必要ですよ。」とご説明することが多いのですが、そもそもこの「刺激」とは、どのようなものを指すのでしょうか。

アメリカの心理学者エレイン・N・アーロン博士は、次のように説明しています。

刺激とは、一般的には、外から受け取るものだと思われているが、身体の内側から、痛み、筋肉の緊張、飢え、渇き、性欲などとして現れることもあるし、記憶や空想、考えや計画などが引き起こすこともある。

刺激の強さや継続時間は様々で、
①クラクション、叫び声など→「度合いの強さ」が刺激になる。
②パーティー会場で多くの人との会話と音楽が一緒になる→「複雑さ」が刺激になる。

こうした刺激に慣れてしまうこともあるが、突然ひどく疲れてしまい、実は慣れていなかったとに気づく場合もある。
毎日の仕事のように、慣れてしまった適度な刺激でさえ、HSPにとっては負担になって、静かな夜が必要になるのだ。」

『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。』(講談社)

いかがでしょうか。
毎日、普通に仕事しているだけなのに、帰ってきたらぐったりしていることに気づくことはありませんか。
とりあえずソファでボーっとしてからでないと動けない自分を、ついつい責めていませんか。

刺激に対する感じ方が人それぞれ違うのだから、疲労度も違って当然なんだと納得できれば、少し気持ちが楽になるかもしれませんね。

◆HSPが持つ特別な資質

メモ-間違い探し-HSP

また、アーロン博士は、HSPが持つ特別な資質として以下のものを挙げ、これらの特徴は、良い悪いの問題ではなく、利点になったり、欠点になったりすると説いています。

・間違いを指摘したり、間違いを避けることに長けている。
・とても良心的である。
・まわりに気を散らすものがなければ、深く集中できる。
・慎重さ、正確さ、速さ、小さな間違いを見つけることが必要な仕事が得意だ。
・自分個人の考えに思いをめぐらせることが多い。
・学んだと気づかずに学んでしまっていることがある。
・まわりの人の気分や感情に大きく左右される。

「自分個人の考えについて思いをめぐらせることが多い。」という特徴は、自己中心的とは違って、「今何を考えているの?」と尋ねられたら、今、世の中で何が起こっているかについてよりも、自分の中にある考えについて述べることが多いことと解説されていて、この点は深く納得しました。

別に、あえて難しいことを「考えたい」わけではないし、そもそも自分が考えることが「難しいこと」とも思っていないし、考えているというか「かみしめて味わっている」って感じだし…。

それなのに、家族やパートナーから、「考えていることが哲学的で難しすぎる。」とか、「あなたの考えていることは理解できない。」と言われると、自分が悪いのかなと否定的な気持ちになってしまいますよね。

私は、前職で、文章をチェックすることが多かったのですが、「間違いは、風景でわかる。」というのが口癖でした。
書類を見た時に、「間違いがありそうな場所は、文字の並びで、何となくその場所がわかる。」ということを表しているのですが、これはかなり感覚的なことで、特殊な才能でもあったと今では理解できます。
当時は、「ぱっと見の風景ですぐわかるのに、なぜ他の人は気がつかないんだろう?」と不思議に思っていました。

また、来客者の感情は、風船の膨らみ方で考えていて、「ああ、あの人の風船はもうすぐ割れそうなほどに膨らんでいるのに、なぜ対応している人は、風船が割れそうなことに気がつかないのだろう?」とハラハラしていました。

数年後に、隣席の部下から「仕事も人間観察も、小田さんの敏感力と周りの鈍感力に差があり過ぎて、辛いんじゃないかなと思っていました。」というメールをもらったことがあります。
きっとこの部下は、敏感な感性を持っていて、その能力を上手くコントロールしながら、私を見ていたのでしょうね。ほろり( ;∀;)

◆HSPは神経症とは違う

刺激-ビックリマーク-HSP

・HSPは、いつも神経がたかぶっているわけではなく、「新しい刺激」「長引く刺激」に対して、神経が高ぶりやすく、HSPであることは、特に理由もないのに常に不安でいる「神経症的」とは違う。
・「監視されたり、時間を測られたり、評価されたりすると」上手くいかなくなることが多い。

「よくそんなこと気がつくよね。」「よくそこまで見ているよね。」「そんなこと考えたこともない。」
そんな風に言われることはありませんか。
それが、誉め言葉の場合もあるし、脅威を感じさせている場合もあるし、非難的な場合もあって、「今は褒め60%だけど、三か月後には脅威80%に変わるんだろうなぁ。」と感じてしまうこともあるわけで…。

でも、HSPのみなさん、HSPと神経症的なものは違います。
競争的なことに興味がなく、監視されると力が発揮できなくなるのも特性です。ご安心を。

◆HSPでも、そうでなくても

バラ-ピンク-HSP

アーロン博士は、「HSPであろうとなかろうと、全ての人にとって適度な刺激がある状態がベストで、同じ刺激に対しても、どれくらい神経が高ぶるかは、個々人によって差がある。」とも述べています。

当然と言えば当然のことですが、刺激の高ぶり方は人それぞれで、HSPだからといって、全ての刺激をNGととらえるのではなく、
・「自分にとって適度な刺激」はどういうものか
・刺激の少ない環境に変えることができるか
・刺激をたくさん受けた場合のケアはどうするのがベストなのか
カウンセリングが、それぞれに応じた「わたし取扱説明書」を作る一助となればと思っています。

『カウンセリングこころの羽・札幌中央店』小田真実