コロナによる外出自粛…おうち時間を充実させる心理学的ポイントは…

こんにちは。札幌市中央区にある『カウンセリングこころの羽・札幌中央店』の岡本です。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴う緊急事態宣言も延長され外出自粛などの行動制限も長期化するなか、今までの人生で体験したことのないようなゴールデンウィークを目にする状況でしたね。

カウンセリングでお話しさせていただくご相談者さまから教えていただいた状況だと中央区でも人通りはまばらだったようです。

このブログを読んでくださる皆さまは、どのように過ごしましたか?

外出できないことがストレスになっている方や意外と充実した時間を過ごしている方など、様々だと思いますが…

今回は、「おうち時間」の過ごし方を心理学や脳科学といったカウンセリングの土台になる考え方で分析してみようと思います。

◆そもそも人の「充実」を決めるのは

ステップを上る男性-カウンセリングこころの羽の成長のイメージ

振り返ってみると、人生のなかで「充実していた」と感じることは人それぞれの理由が見つかると思います。

Aさんにとっては趣味に没頭していた時期が「充実」かもしれません。

Bさんにとっては仲間と過ごした学生時代が「充実」かもしれません。

Cさんにとっては仕事が順調な時が「充実」かもしれません。

これらは人それぞれの価値観によって決まるもので、何が正しくて何が間違えているというわけではありませんよね。

「じゃあ、充実って十人十色ってことでしょ?」と言われてしまえば「その通り」でもありますし「そうとも言えない」とも答えることができます。

具体的な内容の部分に着目すると、当然、十人十色なのです。

その一方で心理カウンセリングでも使われる心理療法や心理学、脳科学の考えを当てはめると“ある程度の傾向”を把握することができます。

実際にカウンセリングの中でも活用される理論だと『自己実現理論』がわかりやすく便利です。

自己実現理論-5段階欲求説
人がやる気を出すためには、各欲求を下から満たす必要があるとされています…

今回もこの『自己実現理論』(別名:マズローの5段階欲求説)を活用しながら「おうち時間」の過ごし方について考えてみます。

基本的な考え方

パズルをはめる手

自己実現理論は、下位の欲求が満たされると次の段階の欲求が現れやすくなるという特徴を持っています。

ここでいう「下位の欲求」というものは上位の欲求と比べて劣っているという意味合いではなく、より本能に近い「基本」になる欲求という解釈をするとわかりやすいかもしれません。

下位の欲求が満たされていないからと言っても人間として未熟であるという意味でもありませんし、それがダメだという意味でもないのです。

逆に言うと、どれほど社会的に認められているような方でも何かのきっかけで気持ちが低下することもありますし、一日の出来事で気持ち(欲求)が上下することも多々あるということになります。

心理カウンセリング的なアプローチとして「おうち時間」を充実させるポイントは、この「欲求の段階」を上位の段階にあげることを意識してみることがわかりやすく効果的だと考えます。

とくに「生理的欲求」と「安全の欲求」は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響が大きく出やすい部分ですので、普段以上に意識的に満たしていく必要があります。

万が一、感染してしまい体調が崩れている場合は、体力回復や日常生活に戻れるだけの治療に専念することが最優先となるのことはもちろんですが、感染していない場合でも「安全の欲求」には「健康維持」や「雇用の安全」「財産の維持」「家族の安全」といった“安心感”につながる気持ちが含まれますので、“不安”を解消していくことも「おうち時間の充実」のためには必要不可欠となります。

不安解消のヒントをまとめた記事を読んでみる→

◆一人で楽しむ派の場合

オンラインヨガをする女性

「一人で楽しむ」と考えた場合でも自己実現理論の考え方に当てはめてみると「社会的欲求/帰属欲求」を無視することはできないことがわかります。

「仲間はいるけれど、今は一人で楽しむ」という捉え方であれば基本的には“問題なし”ですが、もしも「一人=孤独」という捉え方をしてしまうと気持ちが落ちていく可能性が高まります。

人と一緒にいることが「苦痛」と感じられる場合は、その苦痛を避けるために一人でいることを選ぶ場合もあると思いますが、人は本当に「一人」になってしまうと気持ちを維持することが難しくなるのです。

本人が仲間だと思っているか思っていないかは別としても意識的(顕在意識)でも無意識的(潜在意識)でも「一人」だと感じてしまうことは自分自身の気持ちやモチベーションを維持することは難しくなってしまうということがこの理論でお分かりいただけると思います。

一人で過ごしているときにも「仲間(または家族や社会)」との繋がりを感じていることが「充実」と感じるためには必要なのではないでしょうか。

そして、その次の段階として「尊敬、評価の欲求」というものが現れますが、ここは他者からの評価や承認だけではなく「自己承認」(自己肯定)によってもある程度満たすことができると考えられます。

そうすることで一人で過ごす時間の「趣味」や「仕事」を追求する気持ちが自然と湧いてくる…というのが『自己実現理論』に当てはめてみることでイメージすることができるのです。

◆家族と過ごす派の場合

人間の接合

では、“一人”ではなく“家族”と過ごす「おうち時間」の場合は、どうでしょうか?

「うちは家族みんな仲が良いよ」という環境の場合は、何の心配もいらないと思いますし、そもそもカウンセリングルームのブログにはたどり着いていないかもしれませんね(汗)

「家族は仲が良いのが普通」と思ってしまうのは、実は“普通”ではないのかもしれません…。

実際に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に伴い「コロナ離婚」という言葉も世の中でよく耳にするようになりましたし、コロナショックの前から北海道や札幌市としては離婚率が高いということも言われています。

少し古い情報になりますが…札幌市がホームページで掲載している札幌市の離婚率は2.31%
全国の平均離婚率が1.81%であることを考えると確かに高めなのかもしれませんね。

ここで『自己実現理論』の話に戻ってみると…

今回のコロナ影響において家族と同居している場合には、「社会的欲求/帰属欲求」は満たしやすいはず…ではあるのですが、そこに落とし穴があります。

この「社会的欲求/帰属欲求」が満たされると「尊敬、評価の欲求(承認欲求)」が現れるため家族サービスなどを自然と考え、行動することができるのですが…

「安全の欲求」がコロナ影響で不安定になることにより、本来“自然とできるはず”の家族サービスなどが“できない状態(心境)”になりやすいという状況が増加することが予想できます。

これこそがコロナ影響による「落とし穴」

家族に対しての想いが弱くなったというよりも「安全の欲求」が気になってしまうことで意識が向かなくなっているだけなのですが、そこを分かっていないと「家にいるのに家族サービスもしてくれない」と不満を溜めてしまうかもしれません。

この状態を避けるためには基本的な考え方でも書かせていただいた「安全の欲求」=「安心感」を高めるための工夫をしていくことが大切です。

まとめ

体調のチェックリスト

いかがだったでしょうか?

実際の状況や価値観は、人それぞれ異なるものですが、その背景には心理学的な傾向が隠れているもの。

自分自身の傾向や身近な人の傾向を把握しておくことと、心理カウンセリングでも使われるような心理学の理論などを組み合わせることで人間関係やモチベーションアップにも効果的です。

もちろん、「自分自身ではよくわからない…」という場合は、お気軽にカウンセリングルームでご相談くださいね。

あなたは、「おうち時間」を充実させるためにどんなことを意識していますか?

『カウンセリングこころの羽・札幌中央店』岡本教兵