責任感…無理し過ぎていませんか?〜心理カウンセリング視点で考える日常〜

こんにちは。札幌市中央区にある『カウンセリングこころの羽・札幌中央店』の岡本です。

最近、ブログの書き始めが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のことになりがちですが…(汗)

ここまで日常生活へ影響してしまうと仕方ない部分かもしれませんよね…。

どうしてもインターネットのニュースでもTVのニュースを見ていてもコロナ関連のことが情報として入ってきてしまいます(汗)

このような特殊な状況が続いていくと人それぞれの「本心」や「本音」が見えてきたり、自分自身の「本心」「本音」に気づいたり…という変化も起きているのではないかと感じます。

それと同時に「自分ではどうすることもできない現状」に対してストレスを強く感じている方も沢山いらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、実際のカウンセリングのなかでもお話しすることがある「考え方」の部分に着目して書かせていただこうと思います。

◆責任…義務…権利…

責任を感じて落ち込んでいる男性-うつ病

私自身も20代の頃から“ハードワーク”と呼ばれるような働き方を経験し、仕事中心の生活を送っていた経験がありますので、「仕事」を中心にした考えが“ダメ”だとは思っておりません。

その一方で、私のプロフィールなどにも書かせていただいている通り父が仕事への責任やプレッシャーからストレスを強く感じたことで「うつ病」となり、家族としてのサポートもうまくいかずに自殺してしまったという出来事を経験しました。

この体験は、それまで“当たり前”のようにサラリーマンとして働いていた私の人生を(独立型の)カウンセリングルームを開設し、心理カウンセラーとしての人生へと変化させていったターニングポイントとなりました。

このこと自体は、今となっては「必然」だったように感じますし、悔しい想いは残っていても「後悔」とは少し違う感覚で受け止めることができています。

そのうえで、「仕事に対する責任」を感じ過ぎることは非常にリスクが高いことだと感じていますし、昔の上司から言われた言葉を今でも思い出すことがあります。

「残念に感じるかもしれないけれど仕事における岡本さんの代わりはいくらでもいる。でも、家族にとって岡本さんの代わりは、どこにもいないんだよ」

この言葉は当時、日をまたぐことが多い深夜残業を連日“当たり前”のようにやっていた私にとっては非常に印象的なものでしたし、その頃から10年以上経った今でも大切にしている考え方です。

会社勤めをしていると「権利」を主張するためには「義務」や「責任」を果たすことが絶対だ。という考え方を上司から教え込まれるかもしれません。

もちろん、そのこと自体を否定するつもりもありませんが、会社勤務をしている方にとっての「責任」とは、仕事における役割に対しての「責任」であって人生のすべてをかけるほどの責任ではない…かもしれないということは忘れずにいたいですね。

「責任」という考え方は、「成果」を出すために意識するべきものであって、本来は「プレッシャー」や「ストレス」を感じるためのものではないのです。

もしも、「責任」という言葉で「プレッシャー」や「ストレス」を強く感じているのであれば、一度、「責任」という考え方から離れてみることもオススメです。

◆経営者の責任とは

走っている男性-責任の重い経営者のイメージ

前述させていただいた「責任」に対する考え方は、会社勤務の方を前提に書かせていただきましたが、それでは「経営者」にとっての責任とはいったいどういうものなのでしょうか。

「経営者は孤独」という表現を耳にすることも少なくありませんが、実際には「経営者は孤独になりたがる」という表現の方が現実に近いかもしれません。

「経営者」となると大企業ではない限りは、会社の中に該当者数は少ないものです。

そのことが「従業員」は仲間がいるけれど、経営者には仲間がいない=結果として「孤独」だと思うことで自分を保とうとするのかもしれませんね。

ただ、本来であれば、従業員や部下も会社の仲間なので、「自分は経営者だ」という認識を切り替えながら、時にはスタッフと同じ目線に立って仲間たちと関わっていくと「孤独」ではなくなるのだと感じます。

そのためにはある程度のコミュニケーションスキル(心理カウンセリングで「アサーション」と呼ばれる考え方などですね)が必要となるため人間関係に苦手意識を持っていると途中で断念してしまうことも…。

経営者の「責任」を仮に「環境作り」だとするとスタッフとのコミュニケーションこそが本来、重要な役割であってそれ以外の責任というのは「社会的役割」による立場上の責任と考えることができます。

「社会的役割」は、そのときの居場所によって変化します。

会社のなかにいるときは「経営者」という役割ですが、自宅にいるときは「一人間」であり男性の場合は「父や夫や息子」女性の場合は「母や妻や娘」という役割になるのです。

このように考えると経営者が責任とうまく付き合っていくためには、「お休み」や「自分の時間」をしっかりと確保することが大切なのではないでしょうか。

◆「今、ここ」に集中することの大切さ

マインドフルネスをする女性-今ここのイメージ

人は「見えない」「分からない」ものに恐怖や不安を感じるという傾向性があります。

「責任」というものも自分のなかで「明確」になっていれば恐怖や不安になることも少ないものですが、曖昧な状態だと恐怖や不安を感じてしまいそれがストレスへと変化していきます。

また、「過去」や「未来」のことばかり考えることも「見えない」「分からない」ものを意識している状態となりやすいといえます。

「未来」は、誰にも分からないものですから、「見えない」「分からない」=不安や恐怖になりやすいものです。

「過去」については、自分の経験を元にしているので、「えっ?分かるでしょ?」と思われるかもしれませんが、既に時間が経過しているため一歩間違えると「見えない」「分からない」になってしまうのです。

例えば、外出した後に「家の鍵をかけましたか?」と質問したうえで「それは本当に合っていますか?もしかしたら間違いではありませんか?」と何度も質問を繰り返すと「もしかしたら…」と不安になってくるかもしれません。

よく刑事物のドラマなどで取り調べを行うと被疑者が「やっていない罪の自供をしてしまう」というシーンがあったりしますが、人は何度も質問(疑問)を投げかけられると自分の記憶さえも疑ってしまうもの(記憶の捏造をしてしまうもの)なのです。

このように「未来」や「過去」に意識を向けすぎることは不安や恐怖=ストレスを感じることにつながります。

この状況を予防するための方法としては、「今、ここ」をしっかり意識することです。

有名な方法だと「マインドフルネス」という瞑想や呼吸を中心とした訓練方法があります。

これは、国内外の有名な企業の研修などでも取り入れられたことで注目を集めた方法なのですが、呼吸を使った方法以外にも気軽に出来るものがありますので、次回、具体的な「活用方法」をご紹介させていただきますね。

あなたは「今、ここ」をしっかり生きていますか?

『カウンセリングこころの羽・札幌中央店』岡本教兵