その嫌悪感、本当にその相手が原因ですか?コロナ離婚ちょっと待って〜カウンセリング視点で考える日常〜

こんにちは。札幌市中央区にある『カウンセリングこころの羽・札幌中央店』の岡本です。

日常生活の中で「嫌だなぁ…」と感じること(嫌悪感)は少なからず誰にでもあると思います。

でも、その嫌悪感は、本当にその相手が原因なのでしょうか?

とくに最近だと新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で“コロナ離婚”という言葉が話題になるなど…外出自粛により距離感が近くなったことで、すれ違いやストレスが増え“離婚”を考えるご夫婦も増えているようです。

私自身もバツイチですので、「離婚は良くない」などと上から目線で言うつもりは全くありませんが、後から後悔するよりは一度立ち止まって様々な角度から考えてみることも大切です。

そこで今回は、価値観のすれ違いがどのように起きるのか…ということを心理カウンセリングの視点から考えてみようと思います。

人の気持ちは“価値観=過去の体験”から出来ている?!

大人と子供

もちろん「いやいや、全面的に相手が悪いよ!」という場合もあると思います(^^;

しかしながら、「嫌だなぁ」と感じる内容は、人それぞれ違うはずです。
これは、その人の「価値観」が大きく影響しているから。

例えば、「雨降り」に対しても「暗い気持ちになる人」もいれば「ワクワクする人」もいます。

これは、雨降りに対する思い出や体験が本人にとって良い思い出なのか悪い思い出なのかによって変化する…ということを想像しやすいのではないでしょうか。

これと同じようなことが日常生活の中でも起きているのです。

例えば、背の高い男性上司に対して「嫌だなぁ」「苦手だなぁ」と感じたとします。

この場合、その上司本人から嫌なことをされた場合もあるかもしれませんが、初対面で「嫌だなぁ」「苦手だなぁ」と感じた場合は、その上司本人から何かをされたわけではありませんよね?

そのような場合には、過去の体験の中で背の高い男性から嫌なことをされた。辛い思いをした。

という過去の体験が価値観の基準になっている可能性があります。

つまり、今、目の前にいる人や物事に対して感じている嫌悪感ではなく、過去の体験で感じた嫌悪感を「思い出して警戒している可能性がある」のです。

このような考え方を最近の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連する事例で考えてみると…。

◆ケース1.在宅勤務(テレワーク)によって収入の不安が…

会社からのプレッシャー

コロナウイルスの影響で仕事が在宅勤務(テレワーク)に変わったAさん30代男性。

普段は同い年の妻と3才の子供が一人仲良く暮らしている。

そんな中で妻から言われた一言「お給料減るのかな?大丈夫?」

これは、ごくごく自然な不安ですよね?

今となっては一部の業種を除き多くの方が直面している不安だと思います。

しかしながらAさんは、この質問に大激怒してしまうことになります。

「そんなの俺にわかるわけないだろう?!なんで、この大変な時にそんなこと言うんだよ!!」

普段は優しいAさんの反応に妻も驚き戸惑ってしまいます…。

これはあくまでフィクションですが、実際に体験したことがある人もいるかもしれません。

ここでポイントになるのがAさんは極端に「お金に関する話題に過敏である」ということです。

もしかすると幼少期にお金にまつわる嫌な思い出があったり、両親がお金関連のことでよくケンカしていたなどの「体験」があるかもしれません。

妻の立場からすると夫の働き方が変化し、収入面で不安を感じることは自然なことかもしれませんが、Aさんのように過去の体験で強い苦痛を伴ったことがある場合は、「お給料が減る」というキーワードで瞬間的にストレスが増えてしまいAさん本人も驚いてしまうほど感情的になってしまうということが起こる可能性が考えられます。

◆ケース2.せっかく家にいるのに何もしてくれない…

夜にスマートフォンを使う人

Bさんは、職場の休業により自宅にいることが多くなっています。

妻のC子さんは共働きで医療機関に勤めているので、当面の収入は何とかなるものの自分自身の今後の仕事のことを考えると不安が膨らんでいきます。

自宅では小学生の息子と中学生の娘が「休校」により自宅待機をしており、C子さんは昼食の用意をしてから職場へ向かいます。

ある日、C子さんが帰宅するとBさんがソファーに腰掛けて「スマホ」をずっと眺めています。

その直後の発言にC子さんは激怒してしまうことに…

「今日の晩ご飯、何?」

「はっ?!私は、今帰宅したのに、その当たり前のように晩ご飯を聞くのは何なの?!家にいるなら作って待ってるくらいないの?」

BさんはC子さんが何故怒り出したのか分からずキョトンとしています…。

これももちろんフィクションなのですが、ここまで極端ではないとしても部分的に該当する家庭も少なくはないのかなと思います。

ここでは2つポイントになる部分があります。

まず一つが、Bさんの行動です。

「スマホをずっと眺めている」という状態は、スマホを見ることが好きで眺めている…という可能性も0(ゼロ)ではありませんが、どちらかというと不安を感じる現実から目を逸らしたい気持ちの現れかもしれません。

その部分にC子さんが気付いていれば、「激怒」にはならずに「この人も不安になっているんだな…」と受け止めることができたのかもしれませんね。

もう一つのポイントとしては、C子さんの価値観の部分です。

C子さんは、生まれ育った環境のなかで母親から父親に対する愚痴を日常的に聞かされていて「お父さんは何もしてくれない」という言葉を何度も耳にしていたのかもしれません。

そうすると「男性は家事に協力してくれない」「家事に協力してくれない男性は批判されても仕方ない」という価値観が作られる可能性があり、結果として家事を手伝ってくれないBさんに対して「ダメな夫」というレッテルを貼ってしまったのかもしれませんね。

もちろん、Bさんが気持ちに余裕を持ったり、気持ちの切り替えを行なって晩ご飯を作って待っているくらいの行動をとっていれば、C子さんはBさんのことを見直したかもしれません。

しかしながら、人は「習慣」になっている行動を抜け出すことは、なかなか難しいという傾向を持っています。

生活環境が変化したから…と言っても急にそれまでの自分の行動を変化させることは難しい場合があるのです。

◆“コロナ離婚”を予防するには…

コロナ離婚になりにくい信頼し合う家族

すれ違いを軽減するために大切なことは、「相手の立場」をしっかり想像してみることです。

もちろん、想像したうえで「すべてを理解する」「すべてを受け入れる」ことを実行しようとすると自分自身の負担が限界を超えてしまうと思いますので、まずは想像してみるところまででOKです。

そのうえで、その相手の気持ちや行動、価値観を「否定」するのではなく、「そういう考え方もあるのか」と受け止めてみる。

そして、どうしても自分の負担が大きいと感じてしまうときには、感情的になってしまう前の「冷静な気持ち」の状態で話し合ってみることをオススメします。

夫婦関係は、出会った頃、結婚を決めた頃の二人の相性が良かったからこそ始まったものだと思います。

しかしながら、「相性」は環境の変化や経験の積み重ねにより変化していきます。

これは、「価値観」が変化するからと考えることもできます。

自分への負担が大きいと感じた場合には、相手の価値観を理解することが難しい場合もあるかもしれませんが、様々な角度から日常を見つめなおしてみると意外なところに見落としているポイントが見つかるかもしれません。

自分自身で考えることに限界を感じた場合には、心理カウンセリングなども上手く活用しながら負担の軽減や問題解決のヒントを見つけてみてくださいね。

あなたは、身近な人たちの価値観を否定せずに受け止めていますか?

『カウンセリングこころの羽・札幌中央店』岡本教兵

『カウンセリングこころの羽』では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で増加するストレスへのメンタルケアにも活用いただける「オンラインカウンセリング」(電話、Skype、Zoomによるお悩み相談)を全国の方に向けて提供させていただいています。

様々なお悩み相談ができる心理カウンセリングをご自宅からご利用いただけますので、お気軽にご活用ください。

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